メタルアートストリート展も真近になりました。月曜日午前中搬入と連絡がありました。
2トントラックで来られるそうです。
ここで出展作家の参考作品をご紹介します。
今回のメタルアートストリート展を行うに当たって<コンセプト>をページ後半に集録
 

  

 

 

 

 

 

  

 


 

メタルアートストリート展を行うに当たって

現代美術という多様化した表現領域の中で創作活動を行う我々にとって、「工芸」という言葉は、各々の作品ジャンルを語る上での重要なキーワードである。しかし、自由な活動が許諾されることで、逆に曖昧さをもたらす分野であることが、時として我々表現者の苦悩の火種となっている。
 一般的に工芸とは、「美的価値を備えた実用品」を作ることの名称として知られている。ところが実際の工芸は、彫刻との垣根が取り払われ、鑑賞する者を楽しませるオブジェ要素の強い作品を生み出している個性的な表現者たちによって、大いに賑わっている。残念なことに、そうした工芸の変容に直面し、暗中模索しながらも作品制作を行う我々の現状は世間的にあまり知られていない。
 また、20世紀初頭に「美術作品」と「美的な実用品」を区分するために生み出された工芸という概念は、伝統と歴史の中で育まれた技術と付随しつつ、盛衰のリサイクルを美術の時に刻み続けていることから、どうしてもアナログな印象を逸脱することができない。そのため、進歩的な表現とかけ離れたジャンルとして捉えられがちであるが、本当にそうなのだろうか。少なくとも、前述の表現者たちのユニークな発想から生まれる意匠を凝らした作品群からは型にはまった旧聞の工芸とは異なる印象を受けるはずである。
 「言葉遊び」から形体化される立体造形、自然界の法則を超えようとする不思議な動物たち、所有という人間の欲求に訴えかけるミニチュア作品などが渾然一体となる本展から、今まで普遍認識として捉えられていた工芸の姿とは異なる新たな英姿を体感してもらうことで新天地の開拓を目標とする。
 「金属」という素材に魅せられ、考究し展開発表を行う我々の、繊細で執拗さに富んだ作品の数々を是非ともご覧頂きたい。

                  多摩美術大学
                  工芸学科金属研究室
                  大学院工芸専攻研究領域学生一同