TEN企画展のご紹介
4月28日より藤田政利氏の鉄鍛金「風物語」がはじまります。
1977年、東京芸術大学美術学部卒業 安宅賞受賞以来一貫して鉄鍛金の造形作品を発表。
今回8年ぶりの個展開催です。

風を見つけて9

藤田 政利 個展   『鉄鍛金 風物語』 によせて・・
鉄を素材に造形して早や30年を超えた。
あなたにとって鉄の魅了とは何ですか?・・聞かれるたびに答えに困る。
素材が安価だから・・溶接が容易だから・・銅より扱いやすいから・・錆が気に入っているから・・
以前はよくこのように答えていた。
どの答えも確かな事だが芯の答えではない気がする。
気がつけばいつも鉄と格闘していた。
硬い鉄、冷たい鉄、重い鉄を何とか自分のほうに引き寄せようとしていた。
少しでも柔らかい鉄、温かい鉄、軽い鉄を見出そうとしていた。
金鎚で材料と対話すると、材料は反応してくれる。
時には嫌々と従い、時には素直に言うことをきく。
材料は正直で、こちらの言い方のまま、相手は答えてくれる。 それは血が通う一瞬だ。
想いが伝わらないなら、言い方を替えればいい・・やり方を変えればいい。
そんな感じで早や30年以上・・でもまだ飽きないのはなぜだろうか?
その本当の答えは未だ見えないままに答えを探している。
当時、最初は鉄を布にして 布を鉄にした。硬化シリーズだ。
鉄の板を造形すること、素直に向き合うことは、板は板のまま使うのが一番だと今でも思っている。
その後の「わのかたち」シリーズは16作をカタチにしてきた。自分なりにいろいろな表情を見つけた。
そして、6年前に動物がテーマの展覧会の参加で作品を作ることになり、初めて布を
ムササビに化身させた。今まで無機的だった布が急に生命を宿したかのように感じた。
そして、感じても見えないもの・・風・・のテーマが生まれた。
風は見えなくてもそこには風の匂いがあり、自然があり、表情があり、対話がある。
風・生命・布・鉄の4つの素材が揃った。
あとはそれをどう調理するか、どういうご馳走をつくるか、こちらの腕の見せどころ
ということになる。

2009年1月吉日 藤田 政利
09年4月28日(火)〜5月17日(日)11:00〜19:00 gallery TENにて開催

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