加筆訂正
7. 9
6.16 
5.31 
帝銀事件・60年
TEN特集ー獄窓の画家・平沢貞通展
黒奴と黒猫
黒奴と黒猫
*獄窓の画家・平沢貞通展を下記の内容で開催*

 画家平沢貞通は1948年突然帝銀事件容疑者として逮捕されました。 当時すでに一流のテンペラ画家であった彼は以後画家としての創作活動が制限されます。 
さらに、それまで描かれていた作品自体も半世紀のあいだ、闇に葬られそして現在に至るまで、発行されている美術資料にその名が記されることもほとんどなかったのです。
 今回の展覧会で「平沢絵画」本来の姿を逮捕前逮捕後に分け、分類整理。画家平沢貞通の足跡をたどります。時間を追いながらありのままに鑑賞していただければ幸いです。
実施予定日  H20年 9月 5日 〜  H20年 9月 28日
 (9月5日〜9月15日前期中期展・9月21日〜9月28日獄中期展)
実施場所   ギャラリーTEN 台東区谷中2−4−2
主催      画家・平沢貞通復権の会
展覧内容   絵画展プラス対談、映画上映 
 ・平沢貞通氏の養子・平沢武彦氏所蔵の作品を中心に、平沢貞通初期・中期作品展(1892〜1948)に水彩画とテンペラ画を含めた作品35点余を展示。
 ・後期・獄中期展(1948〜1987)には、死刑囚房で描き続けた未公開の絵画10点余と獄中画の代表作を含め40点余を展示します。
 ・9月5日(金) 対談「平沢絵画について」 15:00〜 
          針生一郎 美術評論家
          鈴木邦男 一水会顧問
          平沢武彦 
 ・ドキュメンタリーNHK特集「獄窓の画家・平沢貞通」モニタ上映

加筆 08.07.10

「生の芸術」と平沢貞通

アール・ブリュット展を見て

 新橋でアール・ブリュット展が開催されている。「生の芸術」と称されるこの作品展は、作り手側のやむにやまれぬ「表現したいという心の衝動」から生まれ、その時の文化や流行とはおよそ無縁と思われる作品が展示されている。
 資料からスイスローザンヌ市アール・ブリュット・コレクションと滋賀県近江八幡市のボーダレス・アートミュージアムNO-MAとの連携により企画されたとある。
 絵画を観照し印象を言葉で伝えようとしても、なかなか難しい。しかし平沢貞通の作品とアール・ブリュットの作品たちから私は同じ印象を受けた。
アール・ブリュット展の資料から紹介がてら少し引用してみよう。
 「・・・双方の「交差する魂」は、私たちに未知の世界を見せてくれるでしょう。民族や歴史、文化という背景が異なっても、人が表現に向かう直截なかたちには共通の夢が内包されており、様々な社会的規制の束縛から精神の自由や独創を獲得する人間の力を、ここで私たちはよりリアルに感じることが可能になるのだと思います。・・・・」
 平沢貞通とは表現されたモチーフも時代も違うが、描かれたその心象は「交差する魂」と同じように重なる。3千点余の獄中画は平沢にとって唯一束縛された精神からの解放であり生きる手段であったのだと思う。
 すでに、画家として成功していた平沢は突然の逮捕で、精神も肉体も閉ざされた世界へと追いやられた。
 画家である平沢が自らの表現を封印された時、一体なにをかてに生き続けられたのか
ブリュット展を見て、あらためてそんな印象と感慨を持った一日だった。
おすすめの展覧会である。(HM)

「アール・ブリュット展」 5月24日〜7月20日
     新橋松下電工汐留ミュージアム
「獄窓の画家・平沢貞通展」 9月5日〜9月28日
     ギャラリーTEN

    つづき